糖尿病性網膜症とは
糖尿病は、血糖の上昇による血管障害で、糖尿病性網膜症は、網膜血管が障害する疾患です。もちろん網膜血管のみが障害されるわけではなく、体全体の血管が障害されるため、血糖の改善が重要である事は言うまでもありません。
糖尿病網膜症によって、毎年約2千人ほどが社会的に失明していると言われています。日本の失明原因第3位の疾患です。糖尿病患者は年々増加傾向にあり、食生活、運動不足などが原因として考えられています。
自覚症状に乏しい疾患であり、定期的な診察をしないと急な視力低下を来す場合もあります。定期的に診察をしていれば、適した時期に治療を行うことが出来るため、見えにくくなるリスクを減らすことが出来ます。しかし糖尿病性網膜症が悪くなっても視力が良い場合も多いため、ついつい受診をしなくなり、ひどい状態になってから受診する患者を経験します。眼の奥の網膜の診察には、瞳孔を開いて検査する必要があります。瞳孔を開く検査が終わった後でも4~5時間見えにくくなるため、注意が必要です。
治療のところで詳しくお話ししますが、汎網膜光凝固(レーザー治療)は、行うと見え方が悪くなります。ですので、全く問題のない方に、予防的に行う治療ではありません。かと言って眼の中で大きい出血を起こしてしまった後では、我々眼科医からも眼の中が見えないので、治療を行うことが出来ません。(手術が必要になります)ではどのような患者がレーザー治療の対象となるかと言うと「出血を起こしていないが、起こしそうな人」と言うことになります。出血起こしそうなタイミングを逃さないで、レーザー治療するためには、定期的な診察が必要です。もう少し厳しめに言うと、見え方が問題ないうちに治療をする必要があると考えていただいても良いと思います。悪くなってからでは遅いです。手術も必要になりますし、視力予後も不良です。血糖のコントロールと定期的な受診が必須になります。